最近、韓日関係は「シャトル外交」再開や韓米日首脳会議などで急速に回復しつつある。しかし、関東大震災のときに繰り広げられた朝鮮人虐殺の傷痕は依然として癒やされていない。日本側に事件の残酷さを想起させて真相究明と謝罪を求め、本紙でもこうした痛みの歴史を忘れてはならないという趣旨で最近、企画記事「関東大震災100年、埋もれる朝鮮人虐殺」を6回にわたって報じた。
その過程で、韓国国内の高校検定韓国史教科書9種類を調べた。関東大震災での朝鮮人虐殺を取り上げた教科書は6種類(リベルスクール、未来N、ピサン教育、CMASS、志学社、ヘネムエデュ)だった。残りの3種類(金星出版社、東亜出版、天才教育)では関連の記述を見いだすことはできなかった。
事件を取り上げている6種類の教科書でも、関連の内容は長くても文章三つ分にとどまった。さらに、6種類の教科書中3種類では、本文ではなく「別途の囲み記事」で関東大震災時の朝鮮人虐殺に言及していた。例えば「1923年の関東大地震の後、日本人が同胞たちを虐殺したこともあった」(ピサン教育)という短い文章で、流言飛語の流布や日本の軍隊・警察の虐殺加担、日本政府が沈黙している実態などは取り上げなかった。残りの教科書でも状況は同様だった。未来Nの教科書は、当時の日本人らの流言飛語流布や自警団組織などを比較的具体的に記述したが、「国外移住同胞の苦難」という別途のコーナーで、「間島惨変(1920)」などひとまとめの他の囲み記事よりも比重は小さく、最下段に配置されていた。
悲劇の歴史において軽重を測ることはできない。しかし、関東大震災での朝鮮人虐殺の痛みが他の歴史に比べて注目されていないという点に、残念な思いを抱かずにはおれない。旧韓末に日本から受けたさげすみを忘れまいと言いつつも、日本列島に住んで直接的な差別に遭っていた朝鮮人同胞らの死は、肝心の韓国国内ですら忘れられているのが実情だ。国民の歴史観について責任を負う教科書ですら扱いが小さいとなると、誰がその歴史を記憶できるだろうか。
最近、日本政府に関東大震災当時の朝鮮人虐殺に関する調査を要請した杉尾秀哉参院議員は、本紙のインタビューで「歴史と向き合い、誤りがあれば認めて新たな日韓関係をつくる契機にすべき」と語った。同胞の悲劇にもかかわらず韓国の教科書が「関心」をあまり示さない中で、日本の責任ばかり問うのか。まず韓国人が究明し、記憶してこそ、罪もなく犠牲になった在日同胞らの傷痕を少しでも癒やせるだろう。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/09/14/2023091480152.html
被害者は公式に確認されているもので4934人、20万人から120万人とする主張もある。