25日、本紙の取材を総合すると、企画財政部は20年9月、20~60年の長期財政予測の結果、60年時点で政府債務の対GDP比は64~81%と見込まれると発表した。当時は文在寅政権が借金を重ねて歳出を急激に増やしていた時期だった。文在寅政権は16年末に627兆ウォン(約70兆円)だった政府債務を21年末時点で971兆ウォンへと5年間で344兆ウォンも増やした。政府債務の対GDP比も36.0%から46.7%に悪化した。それにもかかわらず、文在寅政権はそれだけの歳出を行っても債務比率は大幅に高まることはないと主張したのだ。
監査院は当時、企画財政部が政府債務を推計する方式を不正に変更し、そうした結論をつくり上げた可能性があるとみている。歳出は政府が恩給、福祉、地方自治体への交付金、国債の利払いなど法律で支出が義務付けられている「義務的経費」と政策で支出を調節できる「裁量的経費」に区別される。義務的経費の規模は人口構造と経済成長のペースなどによって決まり、裁量的経費の規模は政策によって決定される。
監査院は政府が15年方式で推計を続けたとすれば、60年の国家債務比率は約229%と算出されたとみている。しかし、企画財政部が推計方式を根拠なく変更し、予測値は64~81%へと大幅に低下した。監査院関係者は「企画財政部が歳出を急激に増やすことに伴う批判を避けるため、政府債務比率の悪化程度を縮小した可能性がある」と指摘した。
監査院は企画財政部の当時の実務担当者から「上層部の指示で推計方式が変わった」という趣旨の証言を確保し、指示を下した最終責任者を特定する作業を進めている。
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