格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは5日、中国の信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に変更すると発表した。世界2位の経済大国の債務水準を巡る世界的な懸念の強まりが浮き彫りとなった。
中国に対する「A1」の長期格付けは据え置かれた。ムーディーズは、地方政府などへの支援に向けた財政刺激策の活用が中国経済に下振れリスクをもたらしつつあると分析した。
不動産市場の低迷が深刻化し、中国政府は財政刺激策にかじを切りつつある。景気てこ入れの主な手段として借り入れを強化しており、今年は記録的な債券発行となる方向で、中国の債務水準を巡る懸念は高まっている。
ムーディーズは2017年に中国の格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げ。経済全体の債務が増大する見込みと財政への影響を踏まえた措置だった。同社による中国の格下げは1989年以来のことだった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-05/S56NGUT0AFB400