
不法移民を「犯罪人」「レイプ犯」などと呼び続け、「米国史上最大の不法移民強制送還」を公約に掲げホワイトハウスを奪還したトランプ氏。同氏の再到来で、行き場を失くした移民や難民が急増し、世界全体の人の移動に大きな影響を与えると見られている。
その際、1981年から難民条約に加入している日本も、危険を感じて国を逃れた人々を保護する義務がある。だが、日本の門戸の狭さは広く知られる。
認定NPO法人「難民支援協会」によれば、23年の日本の難民認定率は3.8%。米国の58.5%、英国の61.5%、ドイツの20%などと比べ、文字通り、ケタ違いに少ない。
「日本の難民認定率が低いのは、まず難民審査を行う入管の視点にあります」
そう話すのは、難民支援協会広報の田中志穂さん。難民申請をする人は、つらい経験をしてトラウマを抱えていたり、記憶が錯綜していたりする場合が少なくない。申請者の信ぴょう性がグレーの時は、「灰色の利益」と呼ぶ「疑わしきは申請者の利益に」という国際基準がある。だが、難民を審査する出入国在留管理庁は、難民の「保護」より「管理」の視点が強い。本来であれば、証拠が十分に出せず、難民である立証が難しい場合でも命に関わることなので難民の利益になるように判断することが求められる、という。
「あと一つ、『個別把握論』という日本独自の解釈も原因です。政府から個人的に把握され、狙われていなければ難民ではないという考え方で、認定されるべき人の範囲を極端に狭めています。また、人権侵害が一個人ではなく集団に対してなされることがあるという点も踏まえる必要があります。認定手続きを担う独立した第三者機関をつくるなど、制度の見直しが必要です」
迅速な難民受け入れを
紛争や迫害によって故郷を追われた人は増え続け、24年4月末までに過去最多の1億2千万人に達した。減る兆候はみられず、最近は先進国への新規難民申請者が急増している。
国を問わず、一人一人の命や尊厳を守る「人間の安全保障」を、日本は推し進めてきた。国際社会の一員として、日本に何ができるか。
田中さんは「政治的なリーダーシップが必要」と説く。
22年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻で、当時の岸田文雄首相はウクライナから日本へ避難する人たちを受け入れることを表明し、査証審査・発給の迅速化などを行った。各自治体も住居提供を行うなど、官民が連携しウクライナからの避難民を支援した。日本社会に難民の受け入れ能力があることが証明された、と田中さん。
「難民の受け入れは、人道的な活動です。難民支援は国としてやるべきというメッセージを出すことが重要です」
※AERA 2025年1月27日号より抜粋
https://dot.asahi.com/articles/-/247795?page=1
15:ななしさん
◎ ただの出稼ぎ