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1:ななしさん
「貧乏で韓国しか行けない」日本人だらけのソウル&穴場狙いのマイル修行僧…『韓国旅行』人気のリアル
3/7(金) 16:00 FRIDAY 

日本人の出国者の「4分の1」が韓国に!


日韓路線は都市部の空港だけでなく地方の空港にも。韓国人の海外旅行先のトップも日本。LCCも多い

日本人の海外旅行先、その人気ランキングでトップに挙がるのが「韓国」だ。その理由は〈日本から近い〉〈少ない旅費で行きやすい〉など、今の日本人にピッタリの「安・近・短」がそろう。

一方、昨今の円安や物価の高騰などで、日本人の海外旅行の動きはいまだ鈍い。外務省が発表した旅券統計によると、’24年、日本人のパスポート保有率が「17.2%」にとどまった。出国者数も約1300万人で、コロナ前(’19年)の約2000万人にまだ及ばない。

今、日本発着の国際線に乗ると、乗客のほとんどが訪日外国人(インバウンド)ということも。ただし、韓国便は別だ。

コロナ禍が明けた直後から増え始め、韓国便は今も日本人が多く、ソウルの街を歩くと、場所によっては日本人だらけということも。しかもその大半が女性である。’24年12月の日本人出国者数が約120万人、そのうち韓国が25万人超と、およそ4分の1を占めている。

◆「韓国語を学びたい!」増加する日本人女性の「留学生」

昔の韓国旅行といえば、ソウルの明洞や東大門市場など観光スポットを巡って買い物し、焼肉やビビンバといった韓国料理を味わうのが定番だった。

’00年代の韓流ブーム以降、ドラマのロケ地巡り(聖地巡礼)やK-POPグループのコンサートなどを目的に渡韓する日本人が増えた。明洞の土産店や仁川空港の免税店などには韓流スターやK-POPグループのグッズがずらりと並び、当時は今以上に大量買いする日本人女性も多くいた。

K-POPグループの推し活で韓国へよく行く女性は、飛行機はLCC(格安航空会社)、宿泊先はゲストハウスが主で、「ホテルに泊まる費用ももったいない」と語る。ほぼ毎月渡韓する別の女性は、今回はドラマのロケ地巡りを目的に仁川空港と地方都市の水原(スウォン)を往復し、ソウルには立ち寄らなかったという。

また、「美容大国」と言われる韓国へ毎月通って美容医療を受ける、現地で韓国コスメを買い集める女性も少なくない。ソウルに長年住む日本人からは、K-POPや韓流ドラマなどの影響で韓国語を学びたいと留学する日本人女性が近年かなり増え、「昔では考えられなかった現象」とも聞いた。

◆お金はないけど……「海外旅行に行きたい!」


ただ単に〈海外旅行がしたい〉という比較的ライトな層にも今、韓国は人気。「旅費の総額が安い」のに加え、日本から近いので休暇のやりくりがしやすいのも主な理由だ。

韓国行き航空券の運賃は今、最安で往復総額2~3万円前後。コロナ前より上がって高止まりしているが、LCCや地方空港発着の便もたくさん飛んでおり、国内各地から行きやすいことに変わりない。ホテルは、ソウル中心部の3つ星クラスでおおよそ1泊1~1.5万円ほど、閑散期はそれ以下でも見つかり、ゲストハウスなら1泊2~3千円程度もある。

物価はコロナ前より上昇しているものの、外食は約1000円、カフェのコーヒーが1杯約500円など、欧米ほど高くない。しかも、地下鉄・バスが初乗り約140円(1350ウォン、ICカード利用時)で、タクシーも日本より安く、交通費の負担は少ない。

今の海外旅行は、欧米だと1週間で40~50万円、東南アジアでも4、5日で10~15万円ほどかかる。これと比べると、韓国ははるかに安い。

JTBによる『2025年(1月~12月)の旅行動向見通し』によると、海外旅行に行かない理由は〈旅行費用が高いから〉〈家計に余裕がないから〉〈円安だから〉がトップ3だ。金銭的な問題が上位に並ぶところ、今の日本人の生活面での余裕のなさが海外旅行にも影響しているといえるだろう。

欧米からのインバウンドには「人気なし」!?


ソウルの光化門広場は人気の観光スポットである一方、大統領の退陣を求める大規模集会やデモ行進などがよく行われて有名になり、事あるごとに「できるだけ近づかないように」と注意喚起される場所となった

一方、韓国は「日本人以外のインバウンドにあまり人気がない」というのを、現地で先日聞いた。たしかに、日本国内ほどインバウンド、特に欧米などからの旅行者を見かけることは少ない。

日本ほど人気がない要因は、現役大統領が逮捕されたり大規模なデモが起きたりと、事あるごとに報じられる政情不安がまず1つ。加えて、観光資源に乏しく、韓国人の国内旅行も釜山や済州島ぐらいしかないためにコロナ直後、旅行先に飢えていた韓国人が大挙して日本へ押し寄せたほどだ。

さらに、日本のように温泉が各地にある、食文化が場所によって大きく違うということもなく、東京ディズニーリゾートのような大型テーマパークもない。英語の通用度は高いが、ハングル(韓国語)が理解不能という声も。欧米などから片道10時間以上かけてわざわざ旅行するかというと〈一度行けば十分〉となるようだ。

韓国政府は’24年、訪韓外客数2000万人達成を目標に掲げたが、約1637万人にとどまった。

国別で最多が中国で、日本、台湾と続き、コロナ前(’19年)の94%まで回復したものの、日本ほどの勢いは見られない。一方、’24年の訪日外客数は約3700万人で、日本政府観光局の発表によると、コロナ前より15.6%増と過去最高を更新したという。東京、大阪、福岡などの都市部はインバウンドで溢れ、京都や函館などはオーバーツーリズム(観光公害)も問題となっているのと対照的だ。

◆マイル修行僧、旅行ツウが狙う「韓国発券」航空チケット


韓国が日本ほど人気がないのは、航空券の運賃にも表れている。「韓国発券」が安いのだ。実はこれはコロナ前から見られたが、コロナ後さらに日本へのインバウンドが急増して日本発着の運賃が高騰したことで、特に中長距離路線の韓国発着でその安さが際立つ。

例えば、北米行きのエコノミークラス往復運賃が、日本発着だと30万円を超え、韓国発着だと10万円ほどというのも珍しくない。欧州方面もほぼ同様だ。

この韓国発券を上手く利用する日本人も、実は少なからずいる。日韓往復分は別途必要だが、LCCも多いため組み合わせるのは難しくない。

特に、ANAやJALのステイタス(上級会員)の獲得や維持を狙うのにも人気があり、例えば、アメリカ・ニューヨークへ行くのにいったんソウル・金浦へ向かい、ANAまたはJALで「金浦-羽田-ニューヨーク」を往復で利用し、さらに金浦から東京へ戻る人も少なからずいる。

変な話だが、「羽田-ニューヨーク」の単純往復より運賃が安いこともあるうえ、マイルや搭乗実績のポイントもその分しっかり貯まる。さらに、ビジネスクラスなどにこだわって乗りたい人は、韓国スタートの海外発券を活用するのは以前から見られた。

いずれにしても、海外旅行は余暇であり、日常生活に余裕がないと難しい。旅費ができるだけかからない方法や行き先などを選ぶとなると、隣国の韓国がまず挙がる。韓国観光公社のデータによると、’23年に韓国を訪れた日本人旅行客は約232万人。そのうち30歳以下が42%で、女性を中心に根強い人気がうかがわれる。